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BCPについて考える

アベノミクスの影響で日経平均は伸びていますが
実際の状況はとても厳しいのでは無いでしょうか。

近年日本を含む世界を取り巻く環境は刻一刻と
そしてその変化のスピードは年々早くなっているのは
あなたも実感しているところでしょう。
昔であれば2、3年先の状況はおおよそ読めたと思います。
では今はどうでしょう?

来年自分たちを取り巻く状況が
どう変化しているかあなたにはわかるでしょうか?

それは極めて難しいと思います。
予想をし運良く回避できてたとしても
近年の異常気象や様々な状況に対して何らからの
形で被災してしまう可能性は極めて高く
回避をするのが難しい状況と言えます。
会社が被災してしまった時はどすればよいでしょうか。

今年も災害

おまけに近年の異常気象とそれに伴う災害の数々。
そして我が国日本は地震大国でもあり

南海トラフ地震は向こう30年で発生率が70~80%とされており
首都直下型地震も70%とされています。

2011年の東日本大震災は誰にとっても
忘れることの出来ない未曾有の大災害でした。

私たちはこの日本に住んでいる限りは変化の非常に早い世界の中で
極めて厳しい自然災害が多発する環境において
これらと付き合っていくしかありません。

会社をどのように守っていくか

そのような中であなたの会社は
あなた自身も含めた全ての従業員を守ることができるでしょうか?

まずはここでいう「守る」とは
もちろんその時の社員、従業員の命です。

そして広義の意味で「守る」とはあなたも含めた社員
従業員、そしてその家族の「生活」です。

そのためには災害発生からいち早く
全従業員の安全を確保しつつ
会社の事業を再開させなければなりません。

これがひいては取引先や被災地になった地域社会の経済を活性化し
復興を後押しするものになるのです。

しかしあなたの会社にはそのための備えはあるでしょうか?
そもそも何をすれば良いかわかっている人はいるのでしょうか?

災害時のプランを考える

同じような問題意識を持つ企業の間で常識となりつつあるのが
「BCP」とよばれるものです。

聞いたことがありますか?
中には「知ってる!」という方がいるかも知れません。

BCP(Business Continuity Plan)とは事業継続計画のことで、

中小企業庁によれば企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における
事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことです。

そう、緊急事態の想定には自然災害のみならず

大規模事故、戦災、テロ、場合によってはシステム障害やサイバー攻撃による
被害も含まれています。

たとえば地震によって大規模災害が起きてしまったら
あなたの会社の社員は被災して出社できる人は半分以下になったり
製造業であれば工場が被災して製造ラインを復旧するのに時間がかかるので
平時にできていたことが当然出来なくなるわけです。

そんな状況下でも生き残った人や辛うじて出社できた社員と残った設備で数ある恒常業務の中で優先順位の高さをあらかじめ見積もっておくのが大切です。

特に重要な業務は継続させ、許容される範囲のサービスの質を維持しつつ許容できる期間内に復旧できるように予め代替手段やリソースを準備しておくことです。ことが起きたら誰がどう動くかを平時のうちに定めておくのも大切です。

緊急事態は準備不足の時にやってくる

効果のある有効な手を打つことができでなければ
特に経営基盤の脆弱な企業(特に中小企業)は廃業に追い込まれる可能性があります。

また、運よく切り抜けられてもその後多大な損失を出し
事業を縮小し従業員を解雇しなければならない状況もあるでしょう。

先ほどお話しした通りでBCPの狙いはあなたや従業員を「その時」守るためだけではなく、その後にいかに早く元の生活に復旧するかがポイントになるでしょう。

そして復興していくかを事前にその指針を定めて
平時から備えておくかがキモなのです。

環境災害だけが注目されていましたが
ウィルスによるパンデミック型の災害も今年猛威を振るっています。
このような新型コロナウィルスのようなパンデミック型の災害にどのように対処すべきなのかこちらはリンクの記事を参考にしてもらうと良いでしょう。

BCPのメリット

災害発災時のショックを緩和することです。

緊急事態においては人は誰しも大きなショックを受け
平時の時のようには冷静に行動することはできません。

そんな過酷な状況で従業員や特に経営者は
数多くの難しい判断や決断を迫られます。

そんな時にこそ事前にBCPを作っておくことで、負担を軽減し、
体力や精神的なエネルギーをより効果的に使うことができるのです。

その効果は時を追うごとに大きな差となるでしょう。

二つ目にサプライチェーンの一部としての責任を果たせるということです。

東日本大震災の時には東北地方に点在していた自動車部品の製造業がストップしてしまい、日本の主要産業の一つである自動車産業が大損害を受けました。

これは自動車産業のみにかかわらず
他の業界にも言えることであなたの会社が操業を止めることで
影響が出る取引先は多いはずです。

その中でサプライチェーンの一部を担っている責務を果たすことは
社会的にも大きな価値があります。

メディアブランディングとして価値貢献

被災時に計画的に被災地域の住民を支援するなどの活動を行なった企業は
マスコミを通じて知られることとなり高い評価を受けることになります。

多くの企業が困窮している中、周囲への貢献活動を行うことは日本に対してポジティブなイメージを作る代表的な企業としてスポットが当たる可能性がおおいにあります。

BCPを構築することで、災害時でも事業を維持することで周囲へのアピールや貢献活動を通じての相対的な評価を得られる事になります。

CSRの価値を発揮する

例えばホテルが災害発災時に帰宅困難者を受け入れることを計画し
発災時に支援を行うことでCSR(企業の社会的責任)活動としてPRすることにもなるのです。

また平時においてもいくつかメリットがあります。

それはこうした取り組みをきちんとしておくことで企業は
顧客の信用を維持し取引先として安心感を与えることになります。

また同業者を含む市場関係者からは高い評価を受けることになります。

やがてそれは株主や出資者にとっては
企業価値の維持向上に結びついていくのです。

東日本大震災で東北地方が被災した際には世界中の注目が日本に集まり
それ以来海外の投資家にとって日本企業の抱える自然災害という
大きなリスクには関心が高まっていると言えるでしょう。

その懸念を払拭するためにもきちんとした被災時の見積もりをし
そのリスクにどう対処するかを計画し

有価証券報告書、社会環境報告書、CSR報告書などで積極的に開示することは
投資家へのポジティブなアピールにもなります。

BCPは作るだけでは機能せず、平時にしっかりと様々な形で訓練、
教育を社内で行うことが肝心です。

定期的なBCPの見直しが事業フロー改善にも役立つ

さらにBCPやそれに伴う耐性は一度完成しても有効性の低下や、
陳腐化を防ぐために定期的な改善や更新が欠かせません。

その良いタイミングは防災訓練を行った時、事業内容やプロセスが変化した時、そのほかにも会社を取り巻く内外の要因が大きく変化した時です。

また、今あげた防災訓練や教育は多くの教訓をもたらすもので
一つ一つの教訓や改善を要する事項をもとに定期的に計画を見直し
BCPを実効性ある生きたものにする原動力となります。

予めこうした取り組みをしておくことで
あなたや従業員は「いざ」というときに何をすべきかを知ることになり
ともすれば人と人とがバラバラになりがちな未曾有の危機で団結を生み
特に小さな企業にとってはかけがえのない資産である

「人」の価値がさらに高まるのです。

それだけでなく、従業員一人一人の意識が変わることで
その家族への良い影響も期待できるでしょう。

BCPのメリットは話し出すと平時における
経営戦略の見直しにもなるなど、まだまだあげるとキリがありません。

BCPを準備しておくことで今までお話ししてきた通り
会社の操業レベルを災害発生時に最低限維持することができるとともに
レベルを通常時の水準に回復するまでの時間を
極力短くすることができると言われています。

先ほども書いた通りですがこの効果は
企業の経営基盤が弱くなればなるほど逆にその価値は大きくなるのです。

BCPの取り組みはブルーオーシャンかもしれない

BCPは現段階ではまだ普及を進めている段階であり、
内閣府や公益財団法人東京中小企業振興公社が平成28年に行った調査によると、大企業でBCPを策定している割合は60%
中堅企業でBCPを策定している割合は30%
中小企業でBCPを策定している割合は
わずか6%だったとのことです。

経営基盤が脆弱な企業ほど策定の割合が低いのは
様々な事情があるのは仕方がありませんがだからこそ
「いざ」に備えるべきとも言えるしその価値は計り知れないものでしょう。

一方で自治体は都道府県レベルではBCPを策定している割合は

100%、市町村でBCPを策定しているところは64%という結果でした。

平時においては社会的信用と安心感の醸成。
緊急事態においてはあなたや大切な仲間、会社の資産の被害を最低限に止め、
早期に復旧をはかり、緊急事態ですら踏み台にして成長していく。

そのためにも一度何をすべきか考えてみてはいかがでしょうか。

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